「アタッチメントのゆれ」の早期発見

 

「アタッチメントのゆれ」があると、お子さんの成長に大きな影響が出てきます。また、親子関係がぎくしゃくしてしまい、親のストレスが大きくなります。親子関係の悪循環が進んでしまう前に、「アタッチメントのゆれ」を発見し、早期改善のための働きかけを開始することが望まれます
これまでお話ししてきた、回避行動・感情抑圧・まぎらわし行動・さまざまな困った行動などの特徴は、1歳半から2歳ぐらいに目立ってきます。それより小さい子ども(赤ちゃん)の場合は、以下のような特徴が見られることが多いです。

●泣き方
アタッチメントが進みやすいお子さんは、「表現的な泣き方」をします。エ~ンエ~ンと甘えるような、あるいはさめざめと、あるいはパワフルな泣き方です。すがりつき、涙をいっぱい流しながら、可愛い泣き顔をこちらに向けます。いっときはすごい泣き方になったりもしますが、比較的、落ち着くのが早いです。
アタッチメントが進みにくいお子さんは、「抑圧的な泣き方」です。ギャーッあるいはグェ~ッという悲鳴のような泣き声で、体を突っ張らせたり、そり返ったりして、抱き手の腕から逃れようとします。あまり涙が出ていないことが多く、歯をくいしばったり、のどに力を入れたりしています。せき込んだり、吐いてしまったりすることもあります。長泣きになるのも特徴です。一方で、ほとんど泣くこともなく、寝てばかりという赤ちゃんもいます。これも抑圧の一種ですが、ある時期を境に、爆発的な長泣きに変化していくことが多いです。

●抱っこをしたときの様子
アタッチメントが進みやすいお子さんは、抱っこをすると、リラックスして身を任せてくるので、一体感が感じられます。
アタッチメントが進みにくいお子さんの場合は、なかなか身を任せてくれないので、一体感が感じにくいです。ずっとゴソゴソ動いていたり、体をねじったり、反り返ったり、すぐに降りようとしたり。また、親子の視線が合わないようなスタイルなど、特定の抱かれ方にこだわり、抱き手のペースにゆだねてくることがあまりありません。

●SSPでの様子
幼児のアタッチメントの状態を知るための方法で有名なのは、「ストレンジ・シチュエーション法(SSP)」です。「親子分離の状況を作り、しばらくして親が戻ってきたとき、子どもがどのような行動をとるか」を観察します。そのようなストレス場面では、アタッチメントがしっかりと形成されているお子さんなら、親に不安を訴えたり、抱きついたりという行動が見られます。しかし、「アタッチメントのゆれ」があるお子さんは、親がいなくなっても平気だったり、親が戻ってきても、不安を表現しなかったりします

●介入観察法
相談室では、「一人遊びをしている子どもに、支援者が介入していくことでストレス状況を作り、その時の子どもの行動を観察する」という方法を用います。そのとき、感じた不安を親に向かって表現したり、接近行動で親に助けを求めたりという行動がとれるのは、アタッチメント形成が進んでるお子さんです。「アタッチメントのゆれ」があるお子さんは、不安を親に向かって表現することが少なく、親とは反対方向へ逃げようとしたりします

なにが原因なのか?