(1)親子関係が進んでいくメカニズム
さまざまな心配・悩みで、私の相談室(シャローム共育相談室)に訪れるお子さんたち。成育歴をお聞きすると、ある共通の特徴が浮かび上がってきます。それは、「成長の土台である親子関係が、もともと進みにくい傾向のあるお子さんだった」ということです。
お母さんが、「私の愛情が足りないから」とか、「私がついイライラしてしまうから」とおっしゃるような場合も、「もともと親子関係が進みにくいお子さんだったから、お母さんが心からの愛情を持ちにくくなってしまった。イライラがつのってしまった」というケースも多いのです。言葉や発達が遅れがちな子どもの場合も、「能力が足りない」ということ以上に、「もともと親子関係が育ちにくい子なので、その結果、よけいに力を発揮しにくい状態になってしまう」という面が大きいのです。
つまり、「育てにくい子」の場合も、「言葉や発達の遅れが心配な子」の場合も、表面的な様子・行動だけで判断するのではなく、「親子関係という成長の土台が育ってきているか」ということに注目していくとよいのです。親子関係という土台が育っていっているようなら、今は心配でも、時間が解決してくれることでしょう。「ワンパクで有名だったが、大人になったら、おだやかで優しい人になった」「言葉が遅くて心配したが、大きくなったら、うるさいぐらいのおしゃべりになった」・・・こういった話はよく聞きますね。
しかし、親子関係という土台が揺れたままだとしたら・・・。それは、「その子のなりの成長のペース」というより、本来の成長力にブレーキがかかっている状態と言えます。「その子の個性」というより、「本来の個性を発揮できていない状態」なのです。このような場合は、お母さんの必死の努力も、なかなか実を結びにくくなってしまいます。
さて、まずは、親子関係が進んでいくメカニズムを、「言葉(コミュニケーション)」「お友だち関係(集団参加)」「身辺自立(しつけ)」「認識力」「気になるクセ・行動」という5つの側面から、具体的に見ていくことにしましょう。
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