(14)言葉の遅れが心配な子ども

子育て相談の中で一番多いのは、「言葉の遅れ」。ただ2、3才の時期は、個人差が大きいので、判断が難しいケースが多く、こちらも迷うところ。
極端なケースでは、「3才までほとんど言葉が出なかったけど、その後、急にしゃべり出し、今では家中で一番のおしゃべり」ということもあります。

ただ、言葉の遅れだけではなく、「甘え下手」「「表情が硬い」「ひとり遊びが多い」「極端に落ち着きがない」「かんしゃくがひどい」といった傾向のある子どもの場合は、要注意。こういった行動・様子は、言葉の発達の基盤となる「親子関係」が揺らいでいる子どもに多いのです。
そうなると、言葉が自然に伸びていきにくいのです。

このような子どもの多くは、生まれつき「親子関係が成り立ちにくい傾向」をもった子どもたち。育て方に大きな落ち度はなくても、どうしても親子関係が伸びていきにくいのです。

2歳6ヶ月の健ちゃん。言葉が遅いだけでなく、ママとなかなか目を合わせてくれなかったり、ママがいなくても平気で勝手にどんどん歩いていったり、極端な聞き分けのなさやひとり遊びがあり、ママはとても心配でした。
ママの心配には、心当たりがあるのです。健ちゃんがおなかの中にいるとき、ツワリがひどく、とうとうママは入院しなければなりませんでした。病院のベットで苦しんでいるママをお見舞いに来た人は、みんな、「赤ちゃん大丈夫?」と心配してくれました。でも、苦しくて仕方がなかったママは、「誰も私の事を心配してくれない!」と、悲しくなったそうです。

「赤ちゃんにシットするなんて、母親失格ですよね。きっと、この子は、おなかの中から寂しい思いをしたせいで、私の事を嫌っているみたいなんです」とママが涙ながらに語り始めたとき、ママに抱っこされていた健ちゃんが泣き始めました。「ああ、やっぱり…」とママは納得したみたいですが、なにか、スッキリしない泣き方。「ちょっと違うみたいだよ。健ちゃんは、自分のせいで、ママにつらい思いをさせてしまったことが、申し訳ないと思っているんじゃないかな」と言ったとたん、健ちゃんの泣き方は、「そうそう、そうなんだよう!」と、心の底からこみ上げるような大きな泣き声に変わりました。それを聞いて、ママもまた涙…。

数週間経って出会った健ちゃん親子は、今までとまったく違うウキウキした感じ。「あれから、何だか急に甘えてきてくれるようになったんです。おまけに、『ママ』って言ってくれるようになったんですよ!」と、ニコニコ顔でお話ししてくれるママでした。


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