<ポイント5> 落ち着きのなさにはわけがある


 子どもに見られる落ち着きのなさには、2種類あります。
 ひとつめは、何ごとにも興味をもつ“子どもらしさ”の表れとしての落ち着きのなさ。困る場面もありますが、ほほえましい積極性です。
 ふたつめは、「どうしてこんなに動き回るのだろう?」と、子どものホンネが見えにくい多動的な行動。平気な顔だったり、ニコニコしたりなのでわかりにくいのですが、こういった落ち着きのなさの裏には、実は不安や緊張が隠れています。

 不安や緊張があるとき、甘え上手な子どもは、ベソをかいたり、抱っこを要求したりと、親に助けを求めてきます。しかし、気持ちを表現しようとしない子は、平気な顔で、自力でなんとかしようとします。気持ちを一人でまぎらわす手段が、“動き回る”ということなのです。私たち大人も、心配事があると落ちつかず、部屋の中をそわそわ歩きまわることがあります。それと同じなのです。

 慣れない場所や人の前で、泣きそうになったり、抱っこを求めてきたりする子は、不安を表現できていますので、むしろ心配いりません。何度か経験を繰り返すうちに、だんだん慣れていくはずです。しかし不安や緊張を表現しようとしない“ガマンのがんばりやさん”は、ストレスを抱えこんでしまうので、なかなか慣れていかないのです。
 みんなで集まってなにかの活動をするような場面や、スーパーやファミレス、病院の待合室などで走り回る子なども、笑顔でいるにもかかわらず、実は心の中は、不安でいっぱいであることが多いのです。

 こういったタイプの子は、体に力を入れることは得意ですが、力を抜いてリラックスすることや、まったり過ごすことは苦手です。体がゆるみにくいので、寝つきが悪い子もいます。ママの抱っこに身をまかせることが苦手で、抱っこをしてあげてもずっとゴソゴソしていたり、すぐに降りたがったり、ちっとも落ちつきません。ママの抱っこは、世界で一番落ち着ける場所のはずなのに…。

こうしてみよう

 落ち着きのなさの原因が、抱えこんでいる不安や緊張のせいだとしたら、「叱る」という接し方は、不安や緊張を増やすだけなので逆効果です。むしろ、安心感を伝えるような接し方が大切です。
 手をつないだり、体を抱きとめたりして、「だいじょうぶだよ」と声をかけてあげてください。そうすると、「ほっといて!」と暴れたり、泣いたりが始まる子もいます。しかし、泣きやヤダヤダという表現には、不安や緊張を吐き出す効果もありますので、それでいいのです。「こわいときは、一人でガマンしなくていいよ。ママのところでこわいこわい!って泣こうね」と声をかけてあげるとよいでしょう。
 動きまわりが激しい子も、少しずつ泣き上手や甘え上手になってくると、落ちついて行動できる場面がだんだん増えていくはずです。

 


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