<ポイント2> 泣き上手は、表現上手


 気持ちを受けとめてあげようとしても、「あまり甘えにきてくれない」「ほとんど泣かない」「泣いても、親のところに来ない」という子がいます。こういう子には、どう接していけばよいのでしょうか?

 こんな傾向は、発達障害の子にも、そうでない子にも見られることがあります。こういう子は、見た目は平気そうでも、実は心の中で、「ママが大変だから、気持ちを受けとめてもらわなくてもだいじょうぶ!」と、一人でがんばってしまっているのです(本当は、泣いたり甘えたりしたいくせに…)。ママの育て方のせいではなく、「生まれながらの泣き下手さん・甘え下手さん」なのです。でも、このままだと、表現意欲が育ちにくく、親子関係が伸び悩んでしまうことがあります。

 泣き上手さんが泣くときは、涙顔をママに向けてアピールしてきます。抱っこをすると、しっかりと身をまかせてきます。受けとめてもらった安心感で一時的に泣き声が大きくなっても、ひと泣きしたあとは、すぐに気持ちが切り替わります。「いま泣いたカラスがもう笑った」というのは、泣き上手さんのことです。
 ところが泣き下手さんの場合は、ほとんど泣き顔をアピールしてきません。涙があまり出ないこともあります。抱き上げると、「ほっといて!」という感じでそり返ったり、身をよじって降りようとしたりします。何より特徴的なのは、ギャーという悲鳴のような泣き声。これは、ノドに力を入れて、必死に泣き声を止めようとしているからです。せき込んだり、吐いたりすることがあるのも、無理にノドに力を入れてガマンしようとするから。泣きを止めようとするので、泣きたい気持ちの“吐き出し効率”が悪くなり、かえって長泣きになってしまいます。

 こういったタイプのお子さんに対しては、無理に泣きやませようとするより、「泣きたい時は、泣いていいんだよ」という接し方が効果的です。だんだん泣き上手さんになっていくと、ここぞと言うときに、ちゃんと泣けるようになり、落ちつくのも早くなります。表情が豊かになり、気持ちもわかりやすくなっていくはずです。

こうしてみよう 

 「ふつうは、ここで泣きに来るだろう。甘えに来るだろう」という場面で、ママのところに来ないようだったら、ママの方から迎えにいってあげてください。抱っこをして、「○○だから、泣きたくなっちゃったね」と気持ちの代弁をしてあげるといいですね。わかってもらえたという安心感で、泣きやすくなります。「ほっといて!」という感じで暴れ出しても、「ほっとかないよ!」と、そのまま1分ほど抱き続けてみてください。少しずつですが、“泣く”という自己表現の練習になります。
 こんなやりとりを1ヶ月ほど続けてみると、だんだん泣き上手さん・甘え上手さんになっていくはずです。

 


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