<ポイント10> ママのストレス対策


 「子どものためにがんばらなくては」と思うけど、なんだが疲れてしまう。「こんなふうに接した方が、子どものためになる」と頭ではわかっていても、ついイライラ…。こんなことってありますよね。子どもの気持ちを受けとめるのも大変ですが、それ以上に大変なのは、「自分自身の気持ちを、どう落ち着かせていくのか」ということです。
 あまりストレスをため込まず、ゆったりと子どもと接している人がいる一方で、いつもストレスを抱え、すぐにイライラしてしまう人もいます。いったい、どこが違うのでしょうか。親としてのがんばりが足りない? いいえ、いつもいっぱいガマンしている“がんばり屋”のママほど、ストレスがたまりやすくなってしまうのです。

 自分の心の中を振り返りやすくするために、 「心の中には、二人の“わたし”がいる」と想像してみてください。
 一人目は、“大人のわたし”。親としてどう行動するのがよいか、ちゃんとわかっているわたしです。心の中に住んでいるのが“大人のわたし”だけだとしたら、毎日の子育ては楽勝なはずです。
 でも、私たちの心の中には、もう一人、“子どものわたし”が住んでいます。大人だって、つらくて泣きたくなることがありますよね。「もうイヤだ!」と叫びたくなることも、「だれか助けて!」と甘えたくなることだってあります。こんな気持ちは変なことではなく、どんな人の心の中にもいる“子どものわたし”の自然な感情なのです。
 ポイントは、“大人のわたし”と“子どものわたし”が、どんな関係でいるかということです。

 “大人のわたし”が、“子どものわたし”に対して、
「大人だって、泣きたくなることもあるよね。わかる、わかる。そんなときは、泣いてもいいんだよ」「ときには、ヤダ!と、だれかにグチを聞いてもらっていいよ」「大変なときは、人に助けてもらったり、甘えさせてもらったりしてもいいんだよ」 と声をかけてあげているとしたら。
 “子どものわたし”は、受けとめてもらってよかった!とスッキリし、わりと落ち着いているはずです。

 ところが、“大人のわたし”が、“子どものわたし”に対して、
「泣いちゃダメ。母親はいつも笑顔でいなくちゃ」「親だったら、イヤなんて言わずに、がんばり続けないと」「大人は、人に甘えずに、一人でがんばらなきゃ」 と、いつもガマンをさせているとしたら…。
 “子どものわたし”に、いろいろな気持ちがたまります。すると、ためこんだ気持ちが刺激され、わが子に対して、「泣くんじゃない! ママは泣かずにガマンしているんだから」「ヤダヤダ言うな。ママだってイヤだけど、がんばっているのに」「甘えるなんて、ずるい! ママもひとりぼっちでがんばっているんだから」などと言いたくなってしまうのです。

 ざわついた“子どものわたし”の気持ちが抑えきれずに大爆発になると、つい大人げない言葉や行動になってしまいますが、それは、“子どものわたし”の気持ちだからです。また、心の中でざわつく“子どものわたし”を抑え込むのに、たくさんのエネルギーが消費されます。毎日の子育てが妙に疲れるのは、実は、そのせいかもしれません。
 だから、わが子の気持ちを受けとめることも大切ですが、心の中の“子どものわたし”の存在も忘れず、抱きしめてあげていいのです。

 自分が小さい頃、母親に気持ちを受けとめてもらえなかった、または、受けとめてもらうわけにはいかなったという人は、“子どものわたし”が数十年におよぶガマンをためこんでいるかもしれません。そんな場合は、ぜひ、心の中の“子どものわたし”に、「長い間、一人ぼっちでガマンさせてごめんね」と声をかけて抱きしめてあげたいですね。

こうしてみよう

 だれにも邪魔されない時間帯に、ゆったりと座って、静かに目を閉じてみます。深呼吸をしながら、胸に手を当ててみましょう。あたたかい手の感触を感じながら、胸のところに“小さな女の子”がいると想像してみます。そして、その子に向かって、心の中で、 「いつも一人でがんばってくれているね。ありがとう」と声をかけてみましょう。他にも、その子に響きそうな言葉があれば、言ってあげてください。
 もし女の子が、“泣きたい気持ち”を抱えこんでいるようだったら、「泣きたくなったら、ガマンしなくていいよ。私が一緒にいてあげるからね」と言ってあげるとよいでしょう。

<おわり>


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