<ポイント1> 親子関係のポイントは、受け止め方


 親子関係や言葉を育てていくために、「たくさん話しかけてあげる」ということは大切です。でもそれ以上に大切なのは、子どもの表現を受けとめることです。そのためには、気持ちの表現は2種類ある(行動や表情による表現、言葉による表現)ということを知っておくとよいでしょう。

 うれしくなると子どもは、ニコッと笑顔を、ママの方に向けます。ぶつかって痛い思いをしたとき、友だちにおもちゃを取られて悲しくなったときは、エ~ンと泣いてママのところに飛んできます。眠くなったり、寂しくなったりしたときは、抱っこをせがみます。これは行動や表情による表現で、大事な気持ちの表現のひとつです。
 行動や表情による表現を、「あなたの気持ち、わかるよ」としっかり受けとめてあげることは、コミュニケーションの基礎としてとても大切です。なぜなら、ママに受けとめてもらうことで、表現することの喜びと自信が育つからです。そして、「もっとわかりやすく、ママに伝えたい」という表現意欲が高まり、それが言葉による表現の充実にもつながっていくのです。  

 たとえば、友だちに押されてひっくり返ってしまったとき、エ~ンと泣きながらママのところに来る子がいます。同じような場面で、ママのところには来るものの、その場とは関係のないお気に入りのDVDのセリフをしゃべり続ける子がいます。どちらが“表現”として進んでいるでしょうか? 
 最初の子どもは、言葉は話さないものの、悲しい気持ちをちゃんと表現しています。あとの子どもは、言葉は出ているものの、それが気持ちの表現の道具として使われていません。なので、“表現意欲”ということからいえば、最初の子どものほうが進んでいると言えるのではないでしょうか。
 「この子は言葉が苦手だから、いつまでも泣いているんだ」とか、「自立が進まないから、抱っこばかりせがむんだ」とか思う必要はありません。「これも気持ちの表現なんだね。わかるよ」と受けとめてあげたほうが、子どもは安心し、親子関係がしっかりと育っていくのです。

こうしてみよう

 抱っこをせがまれたら、「甘えたくなったんだね。いいよ」と、できる範囲で応じてあげてください。泣きだしたときは、「泣きたくなったね。心ゆくまで泣いていいよ」と受けとめてあげてください。泣きやませようとあせらなくても、ただ抱きしめてあげて、あとは子ども自身のペースで泣きやむのを待っていればいいのです。それが、“泣くことによる気持ちの表現”を認めてあげることにもなります。
 しばらく抱っこしてあげていると、やがて子どもは落ち着き、体がゆるんでくるはずです。こんな親子のやりとりを通して子どもは、成長にもっとも必要な “安心感”を、ママからたっぷりと受け取るのです。

 


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